就活の悩み

学歴が影響する企業としない企業

今は学歴は関係ないように言われることもあります。
しかし、確実に学歴が影響する組織と、そうではない組織があります。

かつてソニーが履歴書に大学名を書かずに採用活動を行ったことがありましたが、結果は大学名を書いていたときとあまり大学の傾向は変わらなかったと聞いたことがあります。
つまり、人事の選び方などにもともと傾向はあるということです。ソニーで言えば、創業者の一人の井深さんは早稲田出身だからか、上の世代の社員に早稲田の出身者は結構多いとかですね。ちなみに最近は東大、東工大の採用が多いです。

最初にタイトルの結論を言ってしまうと、旧来(戦前、戦後)の大手企業は学歴で採用し、旧帝大出身でなければ役員になることはほぼ難しいです。ただ、メガベンチャーをはじめとする新しい企業(2000年頃以降に起業)は旧帝大は強いけども、それだけではないです。

学歴は採用や昇進にどのような影響があるのか

表向きはどこの組織も、学歴問わず、実力だとか能力採用だとか言っているでしょう。
ところが、本当に実力主義の会社もあれば、それは建前だけでそもそもは旧帝大(※)を中心に採用している企業もあります。

データは、大学通信と実際の一部社員へのヒアリングをもとにしております。

※旧帝大(旧帝国大学)…東京大学、京都大学、名古屋大学、東北大学、北海道大学、大阪大学、九州大学の七大学

ものづくり系:新卒採用において、重工業は旧帝大、国公立大から採用し、ITゼネコンとメガベンチャーは旧帝大、難関私立、中堅私立からの採用が多い

ざっくりいうと古くからある重工業などでは旧帝大が圧倒的に強いです。
戦後にできた、もしくは発展したITゼネコンなどの企業には早稲田や慶応が強いです。

重工業というのは、川崎重工業や、IHI(旧 石川島播磨重工業)などです。
ただ、同じ重工業でも三菱重工業は、旧帝大以外に早稲田、慶応も多く採っています。

ITゼネコンというのは、NTT系列、日立系列、NEC系列、富士通系列のことです。
NECは早慶、同志社、中央、明治などで数十人ずつ採っており、国公立やほかの理系からも多く採っています。
富士通も早慶は多いのですが、大阪大学、東大などの旧帝大を多くとっているところがNECとは少し違います。
同じITゼネコンでも、富士通の方が旧帝大を多く採っているのに、NECはむしろ幅広く理系の大学から採っているなど傾向が異なります。

メガベンチャーというのは、元はベンチャー企業だったところが大企業になった企業を指すもので、明確な基準はないようです。
ここでは、楽天やソフトバンク、DeNA、リクルートなどを例にあげてみます。

楽天とソフトバンクは圧倒的に早稲田と慶応が多く、それぞれ数十人クラスで採用し、東大、阪大などの旧帝大、GMARCHといったところから多く採っています。
DeNAも似た傾向はあるのですが、楽天などに比べるとそもそも極端に採用枠がかなり少ないようです。
リクルートは早慶で20~30人ずつくらい、その次に創業者の江副さんの出身の東大や京大がつづきます。あとは他の旧帝大、難関私立から採用しています。

サービス他:新卒採用において、メガバンクと証券会社とコンサル会社、商社は旧帝大、難関私立から採用し、新聞社や放送局は早慶は多少多いが基本的に幅広く採用

ものづくり系とやはり似た傾向があり、古くからある会社は旧帝大から採用したがります。
コンサル系は、圧倒的に早稲田と慶応が多いです。旧帝大も採りますが早慶ほどではない、というところです。
恐らく、受験をする人自体が少ないことが考えられます。

日本で一番学生が多いのは日大で約7万人ですが、2位は早稲田で約4.7万人で慶応は約3.3万人です。東大が約2.7万人というところです。(2023年)

メガバンクとは、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のことを一般的に指します。
三菱UFJ銀行の場合は慶応が最多で100人近く採ります。その次は早稲田が続き、あと旧帝大という感じです。三井住友銀行は、早稲田と慶応、大阪大学で50人ずつくらい、そのあとに他の旧帝大や、難関私立大学を採用しています。

地方銀行はそのようなことはなく、地元の大学から多く採用します。
例として福岡銀行は西南学院大、福岡大、九州大が採用の大半を占めています。横浜銀行も法政大、中央大、明治大とキャンパスが東京や神奈川にある大学が多いです。

大手商社というのは、売り上げ順に三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事です。2022年度の場合、三菱商事がダントツで21兆円の売り上げで、三井物産が2位で14.3兆円、伊藤忠が13.9兆円という形で続きます。

その三菱商事は慶応が25人、東大が21人、早稲田が20人という感じで、三井物産は慶応が28人、東大が19人、上智が6人と続きます。(ダイヤモンドオンライン2023/6/15の2022年採用情報より)

なぜ、大手は高学歴者を欲しがるのか

大手企業に行きたい場合は、旧帝大や早慶や難関私立から行くことが多いようです。

では、中堅大学やあまり有名でない大学からは就職は難しいからやめた方がいいということなのかというと、向き不向きによります。
別に合うのならばいいと思いますが、まず、なぜ「大手」は「高学歴」を欲しがるのかを知っておいて欲しいと思います。

なぜ、難関大学から大手企業が採用するかと言えば、それだけの受験勉強に耐えられるのなら、仕事が大変でも耐えられるだろう、というところがあります。

学校の勉強で求められるのは、「耐える力と集中力」です。
企業で求められる力そのものです。

企業は一番求めている力は「耐える力」にもかかわらず決して書きません。
この時代にそんなことを書けばたたかれますから。
だったら初めから「耐える力」をもっている「高学歴」の人間を採用した方がいいわけです。

多くの公立中学で「耐える力」を全面に出しているのにはワケもあります。
おとなしく「耐えて」くれることが企業にとっても国にとっても都合がいいわけです。

中堅大学やあまり知られていない大学出身者はどうしたらいいのか

ステージを変えればいいのです。

大手企業全部が、今いったような旧帝大と難関私立から採るというわけではありません。
旧来からある企業にそういう傾向があるわけですので、そういった傾向をもっていない企業はあります。

大手企業でも幅広く学生を集めている企業もありますので、大手企業であることがいいというのならば、そういったところを探すのもいいです。ただ、気を付けなければいけないのが、自分が大手企業に向いているのか、そうではないのかということがあります。

大手だけでなく、中小企業を受けるという方法もあります。

大手企業に入ったサラリーマンと、中小企業で役員になった人、どちらが給料がいいか、またやりがいを感じていると思いますか。
人がもともともっているものとして、自分のやっていることに手ごたえを感じることに価値を感じるようにできています。

モノヅクリの例で言うと、例えばトヨタ自動車で自分は車を作っている、といっても、車のあるソフトウエアの一部分だったりします。それが分業です。
ところが中小企業の場合は、自分がこれを作っている、ということも普通にあります。数人くらいで担当していることも多いからです。
大手企業の場合は、分業されすぎて自分がやっている部分が見えなくなります。

もちろん、大手企業に入れば、自分の企業名を自慢できるかもしれません。
その代わり求められるのは、「ひたすら我慢」です。そして、旧来からある大企業で役員になれるのは、旧帝大卒だけです。ごくまれに早慶でも進むことがありますが、そもそも、道が本当に細いわけです。

中小企業だから給料が安いとは限らないし、安いと思ったら、高くなるようにすればいいのです。
中小企業で求められるのは「耐える力」ではありません。
より積極的に情報収集して、売り上げをあげるための新規事業案を出したり、新規案件をとってくることです。

もちろん、中小企業でさえあればいいというわけではありません。
大手企業でもひどいところがあるように、中小企業であってもひどいところはあります。
また、中小企業でも、戦前、戦後からあるようなところだと、こりかたまってしまっているところもありますので、自分で何か変化をさせようとしても難しい場合もあります。

きちんと自分の目で見て、出てくる人や経営者を見て判断することです。
自分の価値観と、企業の価値観が合うかどうかが大切です。
そのあたりは、他の記事で書くようにします。

今回、書きませんでしたが、スーパーゼネコン(大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店)の大林組や清水建設は大手企業にもかかわらず、日大などの中堅大学から多くとっている業界もあります。鹿島建設や竹中工務店は別で旧帝大、早稲田などの難関私立から多く採用しています。

実は中小企業にも給料は高くて安定している企業はたくさんあります。

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