起業について

コワーキングスペースは儲かるか?

これからも大企業も中小企業も存在します。みんなが個人の事業を作ってそれだけで運営される、ということにはなりません。
大企業があるから、自動車や高層ビルやダムなど大掛かりのものを組織の力で作ることができます。

ただ、そういった組織で働いた後で、自分の経験をもとに事業を興すという人はこれからますます増えることは誰もが予想しているでしょう。しかし、実際にそういった形で進めているは身近にはいないのが現実ではないでしょうか。

はじめたいことがあるのに、始めない理由はなんでしょうか。
安定した収入が見通せないからでしょうか。

例えば、カフェを開きたい、本屋を開きたい、弁当屋を開きたいという場合、もう、それらはオワコンでしょうか。

私はやり方次第でいくらでも方法はあると考えています。
そして、カフェも本屋も、実際に今から開業して成功している事例もいくつもあります。

多くの場合、それらはなんらかの事業と複合させることが多いです。
では、どういう形で進めていくと成功する確率が上がるのかということです。

ご参考に、コロナ禍前にコワーキングスペースの開業準備をしていたこともあり、数十件の物件を実際に訪問して検討していた時のことをベースにお伝えいたします。
実際に、東京、神奈川県、福岡のコワーキングスペースを複数、実際に契約し使用し、開業しているところを調べたときの経験がもとになっています。

坪単価が高いと失敗する

コロナが始まる前から少しずつブームはきていましたが、コロナ後に急激に増えてきたと思われるのが「コワーキングスペース」です。
この事業の特徴は、店舗によっては人を完全におかない無人店舗と、ある程度の秘書的なサービスを付加した有人店舗とあります。

このコワーキングスペースは、廃業している店舗をよく見かけます。
その一番の原因は、坪単価を見誤っていることです。

失敗の原因を一言で言えば坪単価の高い物件を使って作っている場合です。
面積が少ないにも関わらず、内装にお金をかけ、坪単価の高い物件を使っている場合は、お客さんが目いっぱいくるという前提で作ってしまっているため、お客が目いっぱいこなければすぐに赤字になるような状況の店舗です。

コワーキングスペースは有人店舗であれば、面積が広い必要があります。
仮に8時間人を置いたとして、時給1200円で一日約1万円になります。
一か月で人件費が約30万円かかります。

そうすると、席数を多くしないと人件費をカバーできません。
また、もともと人通りが多いところにする必要もあり、かなり開業することのできる場所は限られてきます。
一般的には有人店舗であれば、客単価が2万円くらいないと、なかなか収益が厳しくなります。
仮に40人の会員がいたとすると、毎月80万円の売り上げになります。

40人の会員がいるとすると、少なくとも30席くらいは必要です。
全員が同時に来るわけではないので多少席数は少なくても良いことが多いですが、このあたりは会員属性によります。

30席とすると、面積で70平米くらいは最低でも必要になります。
(机の大きさなどで上下しますが、設計ソフトで簡単に机を置いてみるとシミュレーションできます。下の絵はマイクロソフトのVISIOを使いました。今の席数は、ある物件をもとに自習室スタイルの小型のある机のサイズをもとに計算しました。)

コワーキングスペースの利益はいくら?

物件の家賃+光熱費の合計が30万円とします。

毎月の売り上げを80万円として、消費税を8万円と仮定。
(実際はさらに法人税などがさらにかかります)

ざっくり利益を計算します。

80万-8万(消費税)-30万(人件費)-30万(家賃26万+光熱費3万+通信費1万)=12万円

そこから、法人税などを差し引くと毎月の利益は10万円にも満たないことがわかります。
(オーナーが一人で大半の時間の受け付けも行うという場合は人件費の部分を自分の取り分にすることができます)

そうすると、有人店舗で客単価が2万円の場合は非常に薄利多売のビジネスになりやすいということです。

そのため、多くのコワーキングスペースでは、ユーザー同士のコミュニケーションを図るということで単価を3~5万円にしていることもよく見られます。

客単価が1万円程度のところもありますが、多くの場合は、机と椅子だけ並べて、自習室スタイルのようにしています。スマートロックだけ用意すれば、それでも利益を出すことができます。複数店舗を出せば、それなりに利益を出すことができます。(トイレの掃除をどうするのかなどもありますが、ビル会社が管理しているところにしか入居しないようにしている業者もありました)

あとは、客単価を1万円程度にしたフリースペースと、3~5万円程度の個室のブースとで分けているような形も見られます。そのような形だとフロア面積も100平米以上にして、有人店舗にしているようです。

経営者の選択

ここで考えなければならないことは、単価の安い自習室スタイルにするのか、単価を高くして有人店舗にするのかというところが最初の選択になりますが、経営者の考え方によってきます。

そして、最初の「坪単価」になりますが、このビジネスは家賃が非常にキーになることがわかります。(集客が重要であることは言うまでもありませんが、事業モデルにおいて、というところです)

こういったビジネスは開く前に、具体的にシミュレーションすることである程度成功するか、失敗するかはわかります。

どうしても、「とにかく試してみたい」という人はとても多く、どうやっても収益が出ない、もしくは、あまりにも楽観的にお客さんがすぐ来ると予測してしまっているビジネスも多くあります。その予測が現実より甘いと、甘くない現実を見ることになります。

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