ESを書いていると、よく出てくるのは、「入社後にやってみたいことを書いてください」というのをよく見ます。
これは何を聞いているかわかりますか?
何をやりたい、と本当に思っている何かがあり、それを実現したいので志望するなら書きやすいですが、多くはそんなことはないと思います。
聞いていることは、次の3点です。#testdayo
- 企業がどんなことに取り組んでいるか調べていますか?
- 自分の強みをどのように活かそうと思いますか?
- 志望度の高さや自分の志の高さはどれくらいですか?
それぞれについて説明します。
1.企業がどんなことに取り組んでいるか調べていますか?
自分の受ける企業がどういうことに取り組んでいるのかを調べていないと、そもそも「やりたいこと」なんて書くことはできません。
その組織が、どういうことをやっているのか、守備分野を知る必要があります。
例えば、楽天を受けるのに、「電気自動車を作りたいです」というのは、多分ずれていますよね。
「スマートフォンを作りたい」というのはできるかもしれませんが、基本的に楽天は「メーカー」としての取り組みはしないように見えます。
ここまでずれたことを言うことはないですが、その企業の守備範囲や、その延長の範囲を知らないと、「何をしたいか」は書けないわけです。
そもそも、このことについても二通りの書き方があります。
- 既存の分野をどのように進化させるのか
- 新規の分野をどのように拡大させるのか
既存の分野をどのように進化させるのか
既存の分野に自分が入社することで、その分野をどのように進化させるのかを書きます。すでにある事業部に、ただ入りたい、というのであれば、別に今いる人たちが働けばいいですね。
自分が入社することで、どのように進化させるのか、なんらかのプラスアルファを書くことで魅力的な文章になります。
進化させるというのは、例えばトヨタであれば、「自動車を作りたいです」だと、今すでに作っているわけですから、別に何も新しいことはありません。その中でも、自分が入社することで、研究室で学んでいたAIに関する技術を応用し、交通事故の多い地点と時間などから推奨速度に自動制御することで交通事故の削減を目指します、のような形にします。
この中で、気をつけなければならないのは、すでに多くの会社が取り組んでいる、「自動運転」を押しすぎないということです。自動運転は皆が意識していることであり、それ自体は別に新しいアイディアでもありません。1960年代から自動運転の実験は多くされてきています。そのために、具体的に自分が考える、「未来の車」について話すようにします。
新規の分野をどのように拡大させるのか
全く新しい分野を考えるのであれば、一般的にはいま行っている事業の力を使って拡大できることを考えます。一番話やすいのは、国内が中心の企業に、アジアでの販売など、販路を広げることは書きやすいです。
しかし、そもそも国内での事業を充実させたい、と考えている企業にとっては、そういうことを言ってもあまりひびきません。会社や組織にはカラーがあります。そのカラーを考えていう必要があります。
もちろん、そのカラーとは違うアプローチを自分がするんだ、という想いがあるのであれば、それもありです。
新卒の学生を採る理由は、組織の新陳代謝を図りたいという思いもあります。
そのため、大半は、ある程度似た傾向の学生を採用するのですが、こういうタイプもいたら面白いのでは、という形で採用されることもあります。ただ、それはある程度組織が大きいところであって、まだベンチャーだったり社員数が数十名程度の場合は、そういうことはもとめられていないことが多いです。(新しい考えを求めている、と書いてあっても)
2.自分の強みをどのように活かそうと思いますか?
自分のやりたいことについて、会社の取り組んでいる内容などから選んで書くこと自体は悪くありません。
しかし、大切なことは、自分の強みをどう活かすのか、ということまで踏まえて書かないと、説得力のある文章になりません。
学生が書くESを見ていると、やりたいこと(志望理由もですが)の大半が、「会社や組織の事業説明と背景」になってしまっていることが多いです。もちろん、「自分のやりたいこと」と書かれているのですから、その事業に関わることを書くこと自体はもちろん大切です。
しかし、その中に「自分の強み」まで踏まえて書かないと、あなたを採用する理由になりませんよね。
「会社・組織で、こういうことに取り組みたい」ということと、その理由を書く必要があるのですが、その理由も、「世の中の背景」を書いてもそれでは弱いということです。あくまで、「あなたの強みはなんですか。それを企業や組織でどのように活かすかを考えてください」という話です。
もちろん、配属先などが決まっていない中で書くわけですから、実際はどうなるかはわかりません。
しかし、自分なりに考えて、自分の強みはこういう点なので、これをどの事業において活かしていきたい、ということを書くこと、語ることが大切だということです。
3.志望度の高さや自分の志の高さはどれくらいですか?
「入社後のビジョン」で聞いていることの最後の点として、「志望度」をはかっています。
実は、この「入社後のビジョン」を見ると、応募者の志望度をはかることができます。
そこまで志望度の高くない企業もあるかと思いますが、そうすると、それが文章に出てしまうことがあります。
「自己PR」や「ガクチカ」についてはきっちり書くことができても、「入社後のビジョン」になると急に書けなくなる人がいます。
それは、「入社意欲が低い」からそうなりがちです。
「志望理由」や「入社後のビジョン」が会社や組織の説明文章が大半になってはダメだ、とよくいいますが、なぜ、そのような会社の説明文になってしまうかといえば、自分の想いがないからです。
自分なりのエピソードや想いがあれば、こういう風に働いていきたい、というような文章ができます。
それがないから、会社の説明文になってしまうのではないでしょうか。
面接のときには「志望理由」を聞かない会社もあります。
それでも、「志望度」は常に確認しています。
そもそも「志望理由」という聞き方をしないだけで、角度を変えて似た部分を聞いていることはよくあるものです。
いくら、「人物本位」といっても、会社や組織に合わない人では、どれだけ優秀な人であっても、その場所では活躍できないからです。