日々、学生の皆さんのESを添削しているとよく聞かれる質問の一つです。
かぶってしまうこと自体は悪くはないのですが、ほぼかぶっているというのは避けた方がいいです。
そもそも、自己PRと、ガクチカとは何を書くものなのか、基本に戻ってお伝えします。
自己PRで載せるネタと、ガクチカで載せるネタ自体は変えておいた方が良いということはあります。
自己PRとガクチカの違い
それぞれについて詳しくお伝えする前に、端的に言うとどういうことを書くべきものなのか、それぞれお伝えします。
自己PR・・・自分の強み(長所など)+エピソード+得たこと
ガクチカ・・・学生時代に主に時間や気持ちを割いたこと+エピソード+得たこと
もちろん、これだけが正解というわけではありませんが、自己PRなのかガクチカなのか、作っているうちに、どっちがどっちかよくわからなくなってしまっている人もいるかと思います。長所から切り込んでいくものが自己PR、経験から切り込んでいくのがガクチカです。
自己PRの書き方
手順について
ステップ1 自分の長所と短所を書き出す
・自分で自覚している点
・他人からよく言われる点
この2点について書きます。
ステップ2 エピソードを書く(長所について)
注意することは、他人から言われることについては、「自分ではそうは思わない」ということがあります。
それでも、他人から言われることは、「客観的に見て」ということが多いですので、むしろ、そちらを入れた方がいい場合もあります。
その代わり、自分で自覚していない場合はエピソードが難しいかもしれません。そういう場合は、そのコメントをくれた人にどうしてそう見えるのかを聞くと書きやすくなります。
基本的には長所について書くのですが、なぜ、短所もステップ1で書いたかといえば、短所について、見方を変えると長所になることが多いからです。何か優れた長所を書くのがいい、というよりも、自分がエピソードを深く語ることができることの方がいいです。
ステップ3 その能力を、その組織でどのように活かすのかを書く
提出する企業や組織において、どのようにその能力を活かしたいのかを書きます。
ステップごとの構成する分量の比について
必ずこの比にしないとならない、というわけではないのですが、イメージとしてとらえてください。
ステップ1:ステップ2:ステップ3=1:6:3
くらいです。ただ、これは文字数によっても異なります。内容によっては、1:7:2くらいの方がいい場合もあります。
要はエピソードを多めに、自分の強みと、入社後の気持ちを端的に書きましょう、という意味です。
そのため、あまり厳密に比を合わせる必要はありません。
ガクチカの書き方
手順について
ステップ1 学生時代、特に大学時代においての出来事を以下の点について書きだす。
・長期間取り組んだこと
・気持ちの面で、苦労したことや、注力したこと
一般的には長時間、長期間取り組んだことを書きます。ただ、短期間だったとしても、自分が短期間でも、本当にこれは気合を入れた、苦労をした、というようなことでも大丈夫です。
ステップ2 エピソードを書く期間は長めにとる
ガクチカで注意しなければならないこととして、よく皆さんが書く内容について、「留学」があります。
この「留学」を書くこと自体は何も悪くないのですが、気を付けるのは期間です。
一年や数ヶ月以上行っていたのであればエピソードは多いので困ることはありませんが、一ヶ月や二週間程度の短期間の場合は気をつける必要があります。
それは期間が短いために、エピソードが短くなりがちだからです。
そういう場合は、その留学のための準備なども含めて書くと良いです。
もしくは帰って来てからこのように変わり、今でもこういうことに取り組んでいる、のようにある程度、数ヶ月から一年といった長期に渡ることを言うようにします。
一ヶ月や二週間だけのことにしてしまうと、大学3年だとすると、その3年間あるうちのごく短期間についてだけ述べていることになってしまいます。今は留学について書きましたが、留学に限らず、イベント企画などの場合は、イベント自体は短期間ですので、その準備やその後について書くようにしてください。
ステップ3 何を得たのかを書く
ステップ2のエピソードを通じて、自分はそこから何を得たのかを端的に書くようにします。
例えば、先ほどの留学であれば他文化の人たちと接することで、接し方を変える必要があることを知った、というような直接的なことでもいいです。他にも、自分はいつも引っ込み思案(ひっこみじあん)だったのだが、他の国籍の人たちを見ていて、もっとオープンに接することで自分の気づいていない一面を知った、というようなこともいいです。それにより、自分はこういう風に変わった、というようなしめかたもいいでしょう。
ステップごとの構成する分量の比について
基本的には自己PRと同じ形です。きっちりこれに合わせましょう、というものではなくイメージとしてとらえてください。
ステップ1:ステップ2:ステップ3=1:6:3
自己PRの時にも書きましたが、ステップ1と3は端的に書いて、ステップ2はわかりやすく分量を多くする、という形です。
補足:字数の調整の仕方(削り方)
ステップ1 字数を気にせず書く
初めから字数を気にして書くと、書いた方がいい内容が落ちてしまうことがあります。まずは、字数を気にせずに書きます。どんなテーマでも字数を気にしないでまずは書きます。それで字数が全然足りない場合は、その字数を超えるように書き続けます。字数が全然足りない時には、一つの設問に対し、二つ以上のトピックを入れるという方法もあります。字数にもよりますが、三つは一般的に多いです。
ただ、字数が全然足りていないということは注意が必要です。字数が少ないものを無理やり増やそうとして作った文章は、中身が薄くなりがちです。中身が薄いとは、同じことを違う言い方で書いてあったり、詳しく書かなくていいことを詳しく書いたりしていることが多いからです。
ステップ2 字数を合わせる方法
250文字などで字数が非常に厳しい時には、いかに内容が伝わりながら、字数を減らすのか、ということが難しいと思います。もちろん、文字の削り方にはポイントはあります。基本は字数を気にせず書いて、仮に400文字のところが500文字になったら、あと100文字だから三行くらいかな、のように意識します。
ポイントは、「削っても内容があまり変わらないかどうか」です。
その部分を削っても、内容自体は変わらないな、というところは一度無くしてみても意味が通じるかを考えながら削っていきます。
・タイトルを入れない
例えば、「志望理由」の設問において、「私の志望理由は〜」と言うことは書かなくてもいいことです。
しかし、設問が複数のことを聞いている場合は書く必要があります。例えば、「志望理由か、もしくは入社後に取り組みたいことがあれば記入してください」のように、一つの設問に対して、複数のことが書かれている場合は、「志望理由は〜」などが必要になります。
・同じことを何度も書かない
文章の最初の方でも出てきたことが、文章の中盤でも出てきたり、という文章をよくみます。同じことが表現を変えて出てきてしまうことは基本的に避けます。同じ内容であれば、皆さんも気づくと思うのですが、「つまり、同じことを言っているよね」というようなことが繰り返し出てきていることがよくあります。
・強調している言葉は削る
強調している言葉とは、「非常に苦労しましたが〜」「とてもできないと感じていましたが〜」といった文章があったとき、「非常に」や「とても」はまずカットしてもいいところです。一般的にそういった強調する言葉はなくても意味は変わらないことが多いです。そもそも、そこに書くことは、「とくに」強調したいことだけを書いている、ということが前提にあるからです。もちろん、これが4000文字の作文を書いているのであれば必要になりますが、就活においてはそういうのは特定の分野でないと求められません。
・言い回しを変えて字数を減らす
同じ意味の言葉でも、熟語を使うことでまとめることができるときがあります。例えば、「みんなに伝えるための方法が見つからずに苦労しました」という文章があったとします。それならば、「伝達に苦労しました」でも意味はほぼ同じです。言い回しを変えていくことで、同じ内容で字数を減らすことができることを知っておいてください。