どこかの就職斡旋業者の書いていたキャッチフレーズに、「好きを仕事に」というようなものがありました。
もちろん、「好きなこと」を仕事にできれば、それも一つの幸せなことだと思います。
もっとも、斡旋業者が転職者を増やすことを目標にして出しているメッセージではありますが、これで不幸になる人はいます。
本当に「好き」を仕事にするとはどういう意味かをお伝えします。
そして注意しないと、大きな間違いをする、結構怖い言葉です。
「あこがれ」は行動に結びついていない
他のページにでも書いていますが大事なことなので、繰り返し書きます。
「あこがれ」を「好き」なことだと勘違いしてしまうことが多いということをお伝えします。
「あこがれ」とは何かというと、「こうなりたいなぁ(ポワワーン)」というようなことです。
もう少し、具体的に書きます。
「英語が好きなので、英語を自由に扱えて、海外の人と仕事でセッションしたり、海外情報を調べたりするような仕事につきたいなぁ」
という人がいたとします。
その人は、TOEICは500点程度で、海外の情報やニュースを普段から読むわけでもなく、調べるわけでもなく、海外の人と話すような機会を自分で作ろうとするわけでもない、というような人に対して、どういう印象を持つでしょうか。
別に「英語が好きで、英語を使う仕事」に就きたい人には全く見えないでしょう。
それでも、海外の人たちと仕事がしたいというのは、「あこがれ」であり、「好きなこと」ではないのです。
もちろん、そういった仕事に就くことで、自分をそういう状況においやって英語を使えるようにしたい、ということであれば、それは一つの方法です。
ただ、気持ちと行動が結びついていないような人では、よほど人手不足だとか、そういうところでないと、採用はされにくいでしょう。
企業は教育団体ではありません。「語学が使えるようになるといいなぁ」くらいの気持ちでは採用されないどころか、採用されても、その職場で活躍することは難しいでしょう。
ただ、学校選びであれば、「あこがれ」でも構いません。
学校は教育団体ですので、「英語を使えるようになりたいなぁ」ということで、自分がお金を出しているわけですから、受け入れてくれます。
そして、その自分の身を切る行動ですから、非常に前向きな行動と言えるでしょう。
ただ、就職先選びで同じようなことをしてはならないということです。
就活で苦労もするし、仮に就職できても、お互いによくない状況にもなり得ます。
「好きなこと」は行動に結びついている
では次に、「好きなこと」についてお話しします。
「好きなこと」は行動に結びついているものです。そうではない場合もありますが、少なくとも、周りはそのように判断してくれません。
上の例に書いた「英語を扱う」ことが「好きなこと」であるならば、その人は、学生時代の時から英検をとったりするでしょうし、大学に入っても英検やTOEICのスコアをあげようと毎日勉強したり、留学したり、オンライン英会話で毎日話すなどなんらかの行動をとっているはずです。
その行動をとらずに、自分は「好きなことだ」と言ったところで誰も信じません。
「いや、今は忙しいから、時間がとれたらやるんだ」
というのでは、一生できないでしょう。
他に優先することがあるからできないわけです。
その「好きなこと」よりも優先すべきことがあるから、その「好き」だと思っていることは、後回しになっています。
後回しになるようなものは、最優先の「好きなこと」ではないのです。
「好きなこと」とはどんなに大変でも続けられること
「好きなこと」とは、「どんなに大変でも続けられること」だと定義した方がいいでしょう。もちろん、言葉ですから、「あこがれ」を「好きなこと」だと定義してしまう人もいるでしょうけど、それだと「好きなこと」で仕事を選ぶと、途中ですぐに嫌になってやめてしまいます。
また、「好きなこと趣味にした方がよく、仕事にしてはならない」という言葉も聞いたことがあるかもしれません。
「好きなこと」を仕事にしてしまうと、せっかくの楽しみが嫌いになってしまうことがあるから、「趣味」にしておいておいた方がいいと。
確かに、こういう考え方もあると思います。そのレベルの「好きなこと」は「あこがれ」ですので、「趣味」にしておいた方がいいと思います。
ただ、私は、どんなに大変でも続けられる、本当に「好きなこと」があるのならば、それを仕事にできる人の方が成果を出せると考えます。
どんなに大変でも続けられる「好きなこと」を仕事にすると最強
本当に最強です。
こういったレベルの「好きを仕事に」している人はどんなに大変でも続けられる覚悟があるわけですから、突き進むことができるでしょう。
そしてその「好きなこと」のレベルが周りの人よりもだいぶ高いわけですから、仕事の質も変わります。
オリンピック選手などになると、本当に極限まで極めた人たちがいますから、そういう世界で勝つのは大変なことですが、ビジネスの世界においては、そこまでの「世界一」レベルは求められません。
もっと、普通になぁなぁでやっている人たくさんいるレベルでの話です。
そうしたところで、自分が「好き」を仕事にしたのならば、知恵も使いますし、知識もつけますし、必死にもなりますし、熱意もありますので、自分の行動も高められ、また、周りも引き連れて動くことができますので、大きな成果を出すことができるでしょう。
色々な本やサイトで、「好きなこと」の見つけ方が書いてあります。ここの記事では、あくまで「好き」と「あこがれ」の違いについて書きましたが、後日、「好きなこと」の記事も書こうと思います。