いろいろありますが、その答えを一つ言うと、従業員数に比べて「大量採用」を行っている会社です。それは離職率が高いことを意味するからです。派遣は選ぶ理由がきちんとあれば問題ないです。
大量採用をしている会社と勤続年数の比較
みんなが知っている会社での大量採用ランキング
まず、大量採用ということですが、何人を大量採用というかにもよりますが、従業員数と同じくらい、新卒を採用していたらそれはかなりまずい会社か、よほど成長している会社ということになります。
「就職四季報 総合版」より、大量採用しているところを例にあげてみます。[-]は未公開。
順位 | 社名 | 業種 | 採用人数 | 3年以内離職率(%) | 平均勤続年数 |
1位 | 三菱電機(株) | 電機 | 850 | 4.3 | 16.7 |
2位 | 楽天グループ(株) | 通信 | 800 | - | 4.7 |
3位 | 富士通(株) | 電機 | 750 | - | 19.2 |
4位 | 大和ハウス工業(株) | 住宅 | 709 | 23.0 | 15.0 |
5位 | 富士ソフト | ソフト | 700 | 21.2 | 9.1 |
6位 | NTTデータ | ソフト | 698 | - | 14.7 |
7位 | ニトリグループ | 小売り | 677 | - | 9.1 |
8位 | ALSOK | 警備 | 650 | 34.4 | 17.6 |
9位 | (株)システナ | ソフト | 635 | 31.5 | 6.3 |
10位 | (株)日立製作所 | 電機 | 600 | - | 19.3 |
10位 | NEC | 電機 | 600 | 6.4 | 18.5 |
平均 | - | - | 697 | 20.1 | 13.7 |
楽天は勤続年数が短いのは、まさに「メガベンチャー」ですので合う人合わない人がいるので、このような形になるのでしょう。離職率も高いはずです。もっとも楽天は1997年創業ですので、まだ創業してから短いということもありますがこれからも長くなることはあまりないでしょう。こういった、「攻めた」会社が合う人と合わない人がいます。
富士通は3年以内離職率は載っておりませんでしたが、平均勤続年数が三菱電機より長いくらいですから、相当低いことが予想されます。
富士ソフトやニトリ、システナといったところは定着率が低いようですが、富士ソフトやシステナのような情報系の会社は流動性は比較的高いといえます。あるスキルをもっていると同業者に転職しやすいからです。こういった技術系の会社は転職するときも、同じ分野に進む人が多いです。
全般的に、みんなが聞いたことがあるような会社は大量採用していても、平均勤続年数が長いわけです。上位10位の平均は13.7年でした。
あまり知られていない可能性のある会社の大量採用ランキング
次に、就職四季報 優良・中堅企業版のランキングからトップ10位を同様に抜き出します。[-]は未公開。
ちなみに、就職四季報 総合版と、優良・中堅企業版との違いは、総合版は、東洋経済新報社が日本を代表すると思われる会社を1300社選んだもので、優良・中堅企業版はそれ以外にも採用活動が活発だったり、売り上げが大きいなどの会社を4600社選んだものです。
順位 | 社名 | 業種 | 採用人数 | 3年以内離職率[%] | 平均勤続年数 |
1位 | (株)ワールドホールディングス | 派遣 | 1533 | - | -(5.7)(*1) |
2位 | 日研トータルソーシング(株) | 派遣 | 1500 | - | - |
3位 | 旧社名(株)夢真ビーネックスグループ 現在 (株)オープンアップグループ | 派遣 | 1400 | - | - |
4位 | (株)ネクステージ | 販売 | 1000 | - | 2.6 |
5位 | テクノプロ・ホールディングス(株) | 派遣 | 949 | 28.8 | -(13.8)(*1) |
6位 | ウエルシアホールディングス | 販売 | 892 | - | - |
7位 | UTグループ | 派遣 | 850 | - | - |
8位 | (株)LEOC | 配膳 | 699 | - | - |
9位 | (株)グリーンハウス | 飲食 | 658 | 33.2 | 9.3(*2) |
10位 | 日清医療食品 | 配膳 | 646 | 40.6 | 7.7(*3) |
(*1)有価証券報告書より抜粋、ただし出向している者は含まない(*2)自社HPより抜粋(*3)自社HPより勤続年数ごとの中央値と人数の勤続年数合計から算出
新卒を大量採用している会社の大半が派遣会社で、平均勤続年数が出ていませんでした。
一般的に考えると、離職率は高いことが考えられます。
先ほどの楽天のように攻める会社だから離職率が高いのとは意味が異なります。
新卒で派遣会社を選ぶなら理由が必要
正直な話、派遣会社の社員になることはそれほど難しい話ではありません。
選べば普通の会社の社員になるより簡単に「派遣会社の社員」になることができるでしょう。
普通の会社の社員と派遣会社の社員の違いをわかったうえで選択をしてください。
普通の会社の社員と派遣会社の社員の違い
ある人が言っていました。
「派遣社員の方が社員よりもいい。社員で20万円の給与で、残業や休日出勤もしなければならないのに、派遣社員なら20万円もらいながら残業もなくてきちんと休みがもらえるわけだから」
確かに、1年2年であればそれは正しいです。また、子育てなどがあり「残業はしない」「きちんと休みが欲しい」「1年だけ働きたい」場合も派遣社員の方がいいでしょう。
正社員になると、一般的に残業があまりなくて休日出勤もなくて、というのは難しい会社が多いです。
大学生の新卒も、新卒給与だけ見ると派遣も正社員も給料が変わらないように見えると思います。
しかし、新卒給与というのはあくまで、みせているだけです。
派遣社員の給与の上がり方と、正社員の給与の上がり方には大きく違いがあります。
また、ボーナスなどでも大きく差があります。
つまり、年収は全く異なり、15年もすれば倍くらい違うなんてこともあります。
同じ仕事をしているのに40歳で派遣は400万円で、正社員は700万円以上なんていうことがあるわけです。
絶対に選んではいけないのは、
「本当は正社員になりたいけど、落ちてばかりだから、派遣社員でいろいろ経験を積んでから正社員になろう」
これは余計、難易度があがってしまいます。
新卒にはひろゆきさんの言葉ではないですが、「新卒カード」があるわけです。
それを使わずに派遣になるのはやめたほうがいいということです。
派遣から正社員になる人も0ではないですが、「新卒カード」を使って正社員にになるほうがよほど簡単です。
落ちてばかりというのは必ず理由があります。
派遣社員のメリット
派遣会社にはメリットもあります。
今の日本の企業は派遣の人がいないと仕事は成り立ちません。
なぜなら、仕事量には波があり、本当に人が欲しい時だけ来て欲しい会社もあります。
常時人をたくさん雇うことが難しいから、派遣という形で一時的に来て欲しいわけです。
正社員に比べて派遣社員になるメリットは次のようなものがあります。
- 決まった時間、決まった時期だけ働きたい
- 会社のようなチームの関係を持たないで済む
- 一社に限らず複数の会社を見ることができる
- 勤務エリアを指定できる(正社員のように勤務地が大きく変わることがない)
- 正社員より就職しやすい
一番大きいのはやはり仕事の時間です。
先ほども書きましたが、正社員はどうしても仕事を持ち帰ったり、休日出勤したり、仕事に拘束される時間が多くなります。その点、派遣社員は決まった仕事を決まった時間に決まった場所で行えばいいのです。
派遣社員のデメリット
次に派遣社員のデメリットをお話します。
- 何年働いても昇給があまりなく、逆に年齢が高くなると仕事をもらえなくなることもある
- 契約更新があるとは限らない(いつ仕事がなくなるかわからない)
- 正社員に比べて年収が少ない(ボーナスが基本ないので)
- 決まった仕事や作業しか振られないので、スキルが表面的なものになりがち
- 派遣社員になってしまい年数を重ねてしまうと、正社員になりたいと思ってもそれなりのスキルやコネがないと難しい
こういう点をもっていますので、「1年だけ働きたい」「副業や子育てがあるので定時に必ず帰る」「仕事を中心に働くわけではない」という人には派遣はいいですが、そうではない人は派遣社員は選んではいけない選択肢だということです。
一度、仕事を離れていた人が就職を考える場合には就活期間が短くてすぐに働けますが、新卒が選ぶ選択肢では一般的にはないです。
まとめ
採用人数と、勤続年数、それと派遣についてみてきました。
勤続年数だけで会社は判断できるわけではありません。
勤続年数が短い理由を考えて、就職すればいいのです。
本当に待遇や雰囲気が悪くて勤続年数が短いのか、それともベンチャー企業で新陳代謝が激しくて勤続年数が短いのか、ということです。
会社説明会などの説明会でも、会社の雰囲気というのはある程度は感じることができます。
大体、会社説明会に出てくる人というのは、それなりに選ばれた人が出てきます。
会社などの組織は、自分の組織に合う人に来てもらいたいと思っています。
能力の有無は二の次です。
もちろん、売り上げさえ上げればいいんだ、という会社もあるにはありますが…それも一つの選択でしょう。