少子化ということもあり、今は未曾有の「新卒カード最強説」です。
学生の皆さんは、「採用されやすいならいいじゃないか」と思っていると思います。
実はそこに落とし穴があります。
何が落とし穴なのか、順を追ってお伝えします。
今の就職率が高いことの恐怖
今と似たような状況が過去にあったことを知っていますか?
それは、1990年頃のバブルと言われる時期です。
日経平均株価が最高値3万8915円87銭(1989年12月29日)を記録しました。
この時の大卒就職率は99.2%でした。
その後、2003年に7607円88銭(2003年4月28日)まで落ちます。
バブルの崩壊とともに就職率は2002年には89.7%まで落ち込みます。
今年、日経平均株価は33年ぶりの高水準で3万3753円(2023年7月3日)を記録しました。
そして昨年の就職率は97.3%でした。
非常に似ているわけです。
この1990年頃のバブルと言われていた時期は、今では信じられないようなことが行われていました。
土地や高級品を横に流すだけで利益が生まれていました。
本当にどこの企業も業績が良く、街の不動産までもが面白いように儲かった時期です。日本は技術的にも世界的に高く、1991年には「電子立国日本の自叙伝」というドキュメンタリー番組が流れていたくらいです。
今は、どこの企業も儲かっているというわけではなく、二極化が進んでいるようにも見えます。
この時に採用された大学生は、企業が囲い込みをしました。
囲い込みとは、他の企業の試験を受けにいけないように、観光地のホテルなどを貸し切り、海外旅行に連れていったりしたのです。
このようなことは今ではおきませんが(笑)
人によっては今の大学生の親世代かもしれませんので、親に聞いてみると面白いかもしれません。
この時代、内定を何個ももらえるということが普通にありました。
さて、このような「イージーゲーム」で内定をもらった学生が就職して20年くらいしたとき、その中でも特に仕事のできない人は「バブル世代だから仕方ないね」、と言われてしまうこともありました。
ボタンの掛け違いが起きていた
もちろん、バブル世代はみんなダメとかそういうわけではもちろんありません。
就職しやすいために、就職できない時にくらべるとあまり考えずに内定がもらえたのです。
まさに今と同じ状態です。
就職自体が難しかった2000年頃に就職した氷河期世代とは準備が違うのです。
そこまで準備しなくても内定が何個ももらえるのであれば、別に準備などしないですよね。
もちろん、採用側も甘かったのです。
仕事ができなくて「使えないバブル世代」と言われた人は、能力が低いのではなく、最初のボタンを掛け違えて(ミスマッチ)就職してしまった人が多かったことが考えられます。
多くの大学では、大企業などの就職率などをうたっていますが、そんなことはどこの大学だってそうなのです。
ほぼ100%の就職率なのに、就職率をうたうことになんの意味があるのでしょうか。
もし、本当に大学が就職をうたうなら、3年後、5年後、10年後の離職率も同時に発表するべきでしょう。
企業や組織には入って終わりではないのです。
入ってからが大切なわけです。
今から20年後、2020年頃に就職した世代は簡単に就職できたために「使えないZ世代」などと言われてしまうかもしれません。
バブル世代の二の舞を踏まないために、最初のボタンを掛け違わないようにすることが大切です。
新卒で入る会社、ボタンの掛け違いを起こさないためには
何社も内定をもらえば、たくさんの会社から選べるのでボタンの掛け違い(ミスマッチ)は起きにくくなるということは全く関係ありません。
成績が良かったり、資格をもっていることで複数の内定をとることができてしまう学生もいますが、大事なことはそこではありません。
あなたは、何をすることに価値を感じますか?ということです。
人が一番力を発揮するときというのは、「自分が一番価値を感じることに注力するとき」です。
この他のブログにも書いていますが、あなたは何に感動しますか。
あなたは、お金を払ってでもやりたいことは何ですか。
あなたがこれまで一番、時間やお金、気持ちを使ってきたことは何ですか。
質問は尽きませんが、自己分析というのは、自分でいろいろな角度からの質問や、経験者からの指摘によって気づいたりするものです。
私がこの「西新ベース」を開いた理由でもあります。
就職しやすいから、危ないんです。
そのことに気づいていますか?