就活の悩み

配属先は希望した場所にいけないことも多いってホント?

理系は割と「学科」というくくりでは同じ分野に配属されることが多いが研究分野までは同じにならない方が多いが、ジョブ型雇用の導入もある

このことについては、文系の学生よりも、理系の学生の方が心配していることが多いようにも感じます。

特に大学院(修士)まで進んだ場合は、自分の専攻していた学科の研究室での研究分野と近いところに行けることが多いのではないかと思っている学生が多い印象です。
もちろん、自分の研究室の研究分野にそのまま配属されることもあります。ただ、多くはないです。学科というくくりでは、同じところに配属されることは多いです。

理系の場合は、求人の時点で「電子・情報専攻」「機械」「建築」専攻など、ある程度の学科のしばりを設けています。

例えば、電子工学科でアンテナの研究をしていたとします。確かに、アンテナや無線に関わる分野に配属されることもありますが、企業の規模が大きくなると「電子工学科」のくくりではある、回路設計や画像処理などに配属されるというようなことはある、ということです。

つまり、学科で学んだことの分野に配属されることは多いけど、研究室での研究分野までは同じになりにくいです。それは、大学院(修士)まで進んだとしても、研究したのは大学4年と、修士の2年間の合計3年間です。その3年間でとても深い研究をしているということはあまりないですし、企業もそこまで細分化して採用はしていないことが多いからです。

他の記事にも書きましたが、日本の企業では基本的に「配属先」を決めずに採用することが多いからです。あくまで、企業の一員になる、「メンバーシップ型雇用」として「職務」を決めずに採用します。

「電子工学科」「機械工学科」「情報工学科」など、学科はそれぞれ指定し、その関わる部署には配属されますので、文系よりは配属先は決まっているとは言えます。

ただ、最近では、「ジョブ型雇用」を導入したという日立では、インターンシップの時から「ジョブ型」ということであるスキルをもった学生が志望する分野、企業がそれぞれの部署で必要とする人材をはっきりさせたうえでマッチングを行うということも行われています。「配属ガチャ」を避けたいということです。

これは、企業にとってもメリットがあります。そもそも、なぜ、専攻学科を指定するかといえば、その分野に少なくとも興味のある学生に来て欲しいからです。もちろん、それぞれの専門分野の基本的なことを知っていて欲しいということもありますが、実際は、その会社ごとの「常識」を身に着ける必要があります。

これから、そういう「ジョブ型雇用」は増えるかもしれませんが、やはりそれも理系の分野です。文系の分野ではなかなかないのかもしれません。

文系からの求人の場合はそもそも専攻学科が書かれていない(学科問わずなど)

文系の人で企業の求人ページを見たらわかると思いますが、基本的にそもそも学科を指定していないことが多いです。法学部だったから、経済学部だったから、文学だったから、ということで採用を決めていません。
もっとも文学部であれば、新聞社や出版社を希望するということで、そもそも、会社を選ぶ段階で志望することはできます。例えば、銀行であれば、IT系などは別枠ですが、総合職採用などしか書かれておらず、そもそも、学科の指定はありません。
それは、どんな分野であっても、採用してからその企業に必要な専門分野を身に着けてもらえればいいと考えているからです。

専門人材の採用・育成(今後5年程度先のトレンド)

出典 日本経済団体連合会 採用と大学改革への期待に関するアンケート結果 2022/1/18より

この結果からも、技術系を除く、多くの分野の企業が「社内で育成」と答えています。
いわゆる、「メンバーシップ型雇用」の方法です。職務を問わずに採用して、採用してから鍛える、ということです。

では、文系分野では特に必要とされないのだから、大学での勉強はあまり関係ないのかというとそういうわけではありません。

最も重視する学生の学修経験(2つまで回答可)

出典 日本経済団体連合会 採用と大学改革への期待に関するアンケート結果 2022/1/18より

このことからもわかるように多くの企業では、やはり大学のでの学修履歴は重視しています。学科問わずと求人しているにも関わらずです。なぜ、そのようなことになるかといえば、大学における専門性よりも、ある課題に対する物事への取り組み姿勢を見ているからです。

学生の課外活動の何を見るのか→人となりを見ている

企業が新卒を採用し、理系文系問わず、社内で育成するというのは当面変わることはないでしょう。新卒一括採用を行っている以上、そのような形にならざる得ないからです。

今、上のグラフで企業が採用時に見る部分として「学修履歴」以外に「課外活動」を重視しているとありますが、採用側は何を見ているのでしょうか。

それは、その人が勉強以外の部分で何に興味を持ち、どんな状況の時にどのような対応をしたのか、ということを知りたいからです。
単純に何か資格をとった、とか語学を頑張った、ということを知りたいのではありません。(もちろん、それはそれで有効な企業もあります)

課外活動というのは、アルバイトやサークルが大半になる人が多いでしょう。もちろん、部活でスポーツを頑張っていた、という人は企業からすると魅力的に映ります。それは、企業が「採用して鍛えよう」と思っていますから、それに耐えられるだろうという目論見があるからです。

課外活動に関して採用側が質問をするときには、「特に印象が残ったこと」「何を得たか」「一番の失敗とその時の対応」など聞かれることが多いです。

そこから、その人の「人となり」を判断しようとしています。

海外に比べ、日本は転職などが少ないと言われます。
それは、企業は一度採用してしまうと簡単にはクビにできないことや、長く在籍すると給料が上がっていく半面、天職すると退職金が大幅に減るなど、「年功序列」(年数が経つごとに給料や役職があがる)「終身雇用」(定年まで働くことができる)を前提としている企業が多いからです。

そうすると、採用する前に「その人が何ができるか」よりも、「一緒にやっていけるか」ということを一番気にするわけです。

海外の人事部には人事権はありません。人事権をもっているのは、それぞれの部署のマネージャーです。
日本の人事部には人事権はあります。それは、採用時に「チームの一員になれるかどうか」を見ているからであり、スキルを見ているわけではないからです。

まとめ

配属先については、理系と文系で大きく異なることをお話しました。
理系の場合は、学科というくくりでは同じ分野に配属されることが多いですが、文系であれば、そもそも学科を指定していないので、全く関係ないところに配属されないこともよくあるということです。

ただ、文系は理系よりも、「課外活動」での部分を見られるということを意識しておいた方がいいでしょう。
それは、理系の方が多少職務を指定して採用する部分があるけれども、文系は全くそういうことはなく、企業というチームの一員になれるかどうかだけで判断しているからです。

理系が就職は有利で、文系は苦労するというのはそういうところから来ています。

欧米などの学生は、新卒ですぐに就職するのではなく「ギャップイヤー」と呼ばれる期間を設けて留学やインターン、海外行脚などをすることが多いです。そもそも、海外はジョブ型雇用ですから、一部の特別な大学を除き、何のスキルを持たない新卒は採用されにくいわけです。新卒カードと呼ばれるものがあるのは日本だけです。

その「ギャップイヤー」があるからこそ、自分の強み、弱みを知って企業を選んだり、起業したりするわけです。日本では卒業後にそういうことをする人はそれほど多くありません。しかし、日本は海外に比べると卒業が簡単だと言われるわけですので、長期休みなどで時間をとり、留学やインターンなどに時間を割くことで「ギャップイヤー」に代わる時間を学生時代に送ることができるとも言えます。

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