日本の主要な企業が集まっている「日本経済団体連合会」が発表したデータによると次のようなグラフになっています。
学生が考えている必要な能力と、企業がもっていて欲しいと思う能力が違うことが良くあるのでこのグラフを載せました。
企業が求めている上位3つの能力についてお話します。
「課題設定・解決能力」を8割以上の企業が新卒に求めている
「課題設定」とは、自社や組織の抱える問題点や改善点を具体的に見つけることです。そして「解決能力」とは、その「課題」に対して具体的で現実的な解決策を見つける能力です。
組織内部にいると、同じ顔触れで何年も同じことが繰り返されているために組織の抱える「問題点」や「改善点」が見落とされがちです。
なぜ、わざわざ新卒で多くの人を採用するかといえば、その新しい「視点」と「考え」を取り入れて、常にブラッシュアップ(磨き上げる)必要があるからです。
多くの欧米の企業では、新卒一括採用などということは行わず、基本的には足りない人材を必要に応じて採用するという形です。日本のこの新卒一括採用のメリットとしては組織自体を若くするという役割もあります。
大事なことは、ただ、会社の問題点をあげつらうだけでなく、業界全体のことを見据え、そしてこれから数年先にどのような形になっていくかを考えた上での解決策を出すことです。そして、それを言うからには、自分が中心になってやっていくだけの覚悟も求められることが多いです。問題点をただ、社内でぼやいているだけの人は求められていません。問題を見つけて言うことは誰にでもできます。それを自分が中心になってやっていくというのとでは、全くレベルが異なるのです。
「論理的思考力」を7割以上の企業が新卒に求めている
「論理的思考力」とは、課題を明確にし、物事を整理して考え、人にわかりやすく説明できる力のことです。
もう少し分解すると、
1.ある課題や問題をわかりやすく分類し
2.順を追って解決するためのステップを組み
3.解決する方法を説明できる力
最初に出てきた「課題設定・解決能力」に少し似ているように見えるかもしれませんが、「課題設定・解決能力」は、あくまで「発見」という部分に焦点があてられています。その点、「論理的思考力」は自分の考えや解決策が正しいということを、誰もが納得できるように説明できる力とも言えます。
この「論理的思考力」は、ビジネスを行う人にとって、一番基本となる考えかたと言えます。
これを意識せずに話す人は、「話がわかりにくい」「何を言っているかわからない」と言われてしまいます。
学生時代においても、この能力を高めることはできます。
例えばの話、「今日の夕食は何にしよう」という課題があった時に、ある結論を出したとします。その根拠をどのように伝えるかというようなことが一つの訓練にもなります。
(例題)
<課題>「今日の夕食は何にしよう」
<判断基準>安くて、家の近く、おいしいもの
(解答例)
「なるべく安く、近くて、おいしいものを食べたい」(判断基準の整理)
<判断基準1>安くて→1000円以内
<判断基準2>近くて→家から15分以内
<判断基準3>おいしいもの→Googleの評価4.0以上
<結論>〇〇店にしよう
この解答例には、飛躍も漏れもあるのですが、例えばこのような形で切り口を作って、ある結論まで導きます。これを自分が就活をするときにどのような進路にするかなどを考える際にも参考になります。
創造力を4割以上の企業が新卒に求めている
ここで言う「創造力」はその名の通り、新しいアイディアやサービス、関連する事業のや業界との協業の提案する力になります。
ただ、そうは言っても、その業界がどのような立ち位置にあり、現状がどうなっているかなどを把握するのは学生時代には難しいでしょう。それでも、例えばゲーム業界などであれば、ある企業がどういう経緯で立ち上がり、どういうソフトで売り上げを上げて、今はどういう方向性になっている、ということはその分野に詳しい人であれば知っている、というようなこともありえます。
エントリーシートなどでも、「社内の人への課題では?」と思うようなことを聞かれることもあります。それは、試験を受ける人がどれだけ、その業界や企業に興味を持ち、調査しているかの試験でもあります。少なくとも、その業界や企業に興味をもっている人に来て欲しいということがあります。
入社してすぐに「新しいアイディアを出せ」ということは通常はないのですが、「創造力」というのは常に関連する業界や世の中全体の流れを見ていないと「創造」することはできません。
入社する前には企業・業界分析、そして入社してからは自分の仕事以外にも目を向けて言われたこと以外にも提案することが求められているという意味でとってください。
想像力ではないので、「クリエィティブなこと」だけを求めているのではないことに注意してください。ここで言う「創造力」とは、「自社分野と様々な分野の勉強力」とも言い換えられるかもしれません。