教え方がうまい人というのは、自分でその伝える物事を理解し、自分なりの解説ができます。
教え方が下手な人は、なんらかの「知識」を記憶したこととして話します。
面接でも自分が理解していないことを話そうとすると、「何を言っているのかわからない」となりがちです。
知識を「記憶」しても役に立つのは、学生時代のテストくらいのものです。
知識を理解し、自分なりに調べて解説できるようになり、自分の中で疑問がなくなった状態まで持っていく必要があります。
面接で「暗記はダメ」というのは、この点につながります。
何か、自分の知ったことを「暗記」して「理解」したつもりになって話したことは、相手に伝わらないのです。
ポイント①「理解する」とは、自分なりに疑問がないと思うところまで突き詰めること
高校や大学などで、いままで受けた授業を思い出していただきたいのですが、教え方が上手い人というのは、どういう人でしたか。
教科書をただ読んで、板書するだけの先生の授業というのは、本当に面白くもないし、わかりにくかったと思います。
教科書を使っても使わなくても、自分なりの理解したことを解説してくれた先生というのは、とてもわかりやすいし、頭にも入ったと思います。
例えば、中学の理科で「光の屈折」というのを習います。
空気中から、角度をつけて水中に光が入ると「屈折」するというものです。
これを、ただ「光は屈折する」というだけだと、教科書に書いてあることで新しい知識は何もありません。
しかし、なぜ、「光が屈折するか」を説明できる先生の解説というのは、教科書に載っていない内容でもありますし、聞いていても面白いし、理解もするので忘れなくなります。
(屈折の理由は光は空気中と水中とで速度差があり光線には幅があるからですが、図を描かないと説明できないので省略します)
社会などでもそうですね。ただ、たんたんと歴史の事実を話されるよりも、なぜ、そういうことが起きたのか、歴史上の人物にどういう背景があったのか、ということまで話してくれる先生の話というのは、聞いている人を惹きつけます。
私たちが「教える力」を身に着けるには、説明する事柄を理解するには書かれていることをそのまま覚えるのではなく、「なぜ、そうなったのか」の答えを見つけるようにします。
子供は小さい時、「なぜ?」「なぜ?」といろいろなことに疑問を持ち、理由を聞きます。
これは、物事を理解する一番の方法だからです。
昔、トヨタで言われていたことで「5つのなぜ」を繰り返すことで、問題の本質を見つけるという手法があります。
自分が説明する、面接でも、解説でもいいのですが、自分の話す内容に「5つのなぜ」を当てはめてみてください。
面接官「なぜ、志望しましたか」
①学生「車に興味があったからです」
面接官「なぜ車に興味があったのですか」
②学生「小さい時から乗り物に乗るのが好きだったからです」
面接官「なぜ小さい時から乗り物に乗るのが好きだったのですか」
③学生「小さい時から、ラジコンやミニカーなど車に関するものが多かったからです」
面接官「なぜラジコンやミニカーなどが身の回りに多かったのですか」
④学生「父が車好きだったからです」
面接官「なぜ、お父様は車が好きだったのですか」
⑤学生「レースに出るのが好きだったと聞いています」
かなり適当につくりましたが、自分が伝えようとする物事に「なぜ」を繰り返すと伝えるべきヒントが見つかることもあります。
自分が話すことについて、より深く話すことができるようになると、相手に伝わりやすくなります。
面接官は実際、このように単調な「なぜ」を繰り返すことはありませんが、相手を知ろうとするときには自然に使います。
逆に、自分が志望理由を話すときに「なぜ」を繰り返して理由を深めて、その深いところから話すといい答えができます。
ポイント②人に教えると自分のわかっていないことがわかる
学生時代などにおいても、人に教えることが一番の勉強になるという経験があると思います。
誰かに何かを教えると、相手から質問がでたりします。そういうとき、自分がわかっているつもりで説明をしていたのだけど、答えられないことがあったりすることで、自分の理解できていない点を見つけることができます。
また、誰かに説明をしている最中に「あれ、なぜこれはこうなんだろう」と自分で気づくということもあります。
教えることは学ぶこととはよく言われますが、本当にその通りです。
何か得た知識などを説明する際にも、自分の知識を自分のものにしていると、説明がうまくなります。
ものにしているとは、「疑問がない」ということです。
何か新しいことを知ったりしたときには、それを誰かに話すようにすると、より理解が深まります。
ポイント③得た知識や経験を自分なりに理解した言葉で言い換えるとより伝わる
何かを相手に説明するときに、ただ複数の事実をずらずら話されても、聞いている側にはわかりにくい説明になります。
もちろん、事実だけを伝えなければならないこともありますが、最初に「つまり、〇〇だ」ということを相手に話すと理解がされやすくなるということがあります。
事実を淡々と伝え、最後に結論という話し方が一番嫌われます。
何を伝えたいのか、早く聞きたいわけです。
また、最初に何を話すのか結論を言ってもらえれば、聞いている側は、「これから何を話すのか」ということを知ったうえで聞くことができ、必要に応じて、質問を考えることができるようになります。
仕事を教えるときの話で言うと、一つ一つ、「これはこうやって」「このときはこうやって」「このときはこうやって」とケースばかり並べられても、コンピューターではないので、かえってわかりにくい説明になります。
当然、コンピューターに条件を入力するときには、全部条件をずらーっと入力せざる得ませんが。機械学習ですね。
人の場合は、たくさんの条件を一つずつ話す必要も、もちろんあるのですが、その前に、前提になっていることは何かということを伝えるとそのケースごとの内容が理解しやすくなります。
例が適切かはわかりませんが、初めて車の教習所にいって免許を取るときのことを考えたとします。
そこでは、数多くのルールが出てきます。教習所はルールを一つずつ覚えるしかないのですが、何のためのルールか、ということです。
それは「事故を起こさない・人がケガをしない」ためのルールになっているといえます。
それを先に説明してから何が根底にあるというと伝わりやすくなります。
つまり、自分なりに前提を理解し、それを言葉にしてから、細部を話すということですね。
他にも、詳しくないのですが、法律は憲法がもとになっています。その法律がどの憲法を前提にして作られているのか、ということをわかったうえで理解し説明すると、聞いている側が理解しやすくなるということも言えると思います。これはポイント①に近い内容ですね。
まとめ
研究の学会発表などでも、自分が理解していないことを話すのは当然NGですよね。
しかし、ビジネスの世界では、あまり説明する人が理解していないのに、そのまま解説を読んで説明しているようなことがあります。
それで物事が伝わるわけがありません。
何かを相手に説明する、教えるときには自分で物事を調べ、書いていない部分までの知識をつけたうえで説明するから相手に伝わります。
一言で言えば、「準備が大事」と言えます。
「教えるのが上手い人」は準備がいいということですね。