大学生から聞かれた質問の一つです。
確かに、高校までの学生時代においては、「得意なことを伸ばすことより、穴をなくせ」と言われてきました。
過去に同じタイトルで記事を書きましたが、少し違う側面で、もう少し詳しく書きます。
どれだけ、何かが出来ても、成績は5は5でそれ以上はありません。だから、得意なところに力を入れてもあまり意味はないわけです。それよりも、自分の成績が悪い科目があるのであれば、そこに注力したほうが、成績の合計はよくなる、といった具合です。
何が一つが得意ということよりも、どれもまんべんなくできる方が、有利になるように入試制度はできていますので、大学生がこういったことに疑問に持つのはもっともです。
社会にでると逆です。
そのことについてお伝えいたします。
社会に出たら、得意なことを伸ばすのが大事
学生時代と、社会人時代において、何が大きく異なるかと言えば、「社会人」は分業なんです。〇〇が得意な人は、〇〇をやって、〇〇が苦手な人は〇〇をやる・・・というような具合です。
学生時代は、得意な科目を自分がやって、苦手な科目はほかの人にやってもらって試験を受けるということはできません。
社会人においては、得意なことを伸ばすと、そのことで、組織などにおいても重宝されるようになります。
逆に苦手なことは、得意なことをとても伸ばし、短所は触れないようにしていくと、短所は見えにくくなるのです。これは、パナソニックの創業者の松下幸之助さんも書籍の中で同じようなことを書かれていました。船井総研の創業者の船井さんも似たことを言われていました。
こういった分野は得意だということを自分なりに深めていくことが大切です。
スペシャリストになることが大事だといえます。
もっとも、それはアメリカでよくみられる話であり、日本ではスペシャリストよりもゼネラリストが求められているともいいます。
スペシャリストとゼネラリスト
スペシャリストというのは、ある分野に特化して詳しい人です。狭く深い知識です。
ゼネラリストとは、ある分野に特化しているのではなく、広く浅く知識を持つ人のことです。
日本において、転職などをしやすいのはスペシャリストだといえます。
ある分野に特化して詳しいわけですから、そういう人は求められやすいです。
ところが、経営者になるような人というのは、ゼネラリストの方が多いです。ある分野に詳しいというのではなく、多面的に物事をとらえ、分析、調整できる方が経営者には向いているとみられることが多いためです。
アメリカでは経営者になることにおいても、スペシャリストが重宝されるというのは、仕事が細分化されているからでしょう。つまり、その何かが苦手でも、そのことを得意な誰かに手伝ってもらえばいいからです。
日本の仕事というのは、大半の企業がジョブ型雇用ではありません。つまり、採用時においても職務が決まっていないわけです。欧米においては、必ず職務を決めて採用しています。
T型を目指す
狭い知識で深い知識をもっていることをアルファベットで表すと、I(アイ)型になります。
深い知識もあるのだけど、同時に広く浅くということでアルファベットで表すと、T(ティ)型になります。
日本で重宝されるのはT型になります。
このT型というのは、初めからT型の人がいるというよりも、ある分野について深く調べ、詳しくなっていくのだけど、同時に、少しずつ、他の分野についても広く知っていくことが大事だということです。
まとめ
得意なことを伸ばすのか、短所をなくすのか、というところから話を少しずらしてお話しました。
基本的には得意なことを伸ばすというのは絶対的な条件ではあります。
ただ、上にあがっていくには、それだけでは足りないということです。
もちろん、人にはその部分についても得意不得意があります。
つまり、広く浅く知識をつけることが得意な人と、ある分野に特化して狭く深い知識をつけるのが得意な人とがいます。
もちろん、両方あった方がいいのは当然ですが、それぞれ人のタイプがあります。
自分がどういうタイプなのか、それを考えながら知識を深めていくことが大切です。
学生時代の運動と勉強も同じだったかと思います。
両方できる方がいいとは思いますが、それよりも、どちらかだけが抜群に得意というとそれも大事です。
それも人のタイプによって異なるということです。